グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)作者: 佐々木俊尚出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/04/20メディア: 新書購入: 4人 クリック: 447回この商品を含むブログ (543件) を見る


googleが広告収入による豊富な資金を背景に、ネット上で、かつ無料で利用できる、サービスを提供しており、それは既存のビジネスにとって生存を危うくするほどの脅威ですよ、って話。
クラウドコンピューティングロングテールなどを特徴とするgoogleのサービスを紹介している。

web2.0時代のgoogleやらamazonやらのサービスの解説する本は、この手の本でよくある感じ。事例が合って分かりやすかった気もする。(この手の本をいくつか読んで、この手の概念はある程度把握してるので、分かりやすかったのかどうかはよく分からん。読み飛ばしたし)この本を読み、新鮮な知識だったのが、

・「アテンション」という概念
・国家権力にたいするgoogleの弱さ

1点目
アテンションの定義は、

どれだけ人に注目されるか

だそうです。現代は情報が溢れかえっているため、有益な情報を持っていないと他者は食いつかないよ、ってこと。人間が有限であるため、アテンションも有限。限られたアテンションを狙って、企業やら個人やらが争っているのが現代だそうだ。
google検索エンジンが窓口となっている以上、どれだけ他者からアテンションを得られるかは、どれだけ、googlの検索で上位に引っかかるかに大きく依存する、と筆者は主張する。

検索エンジンを握るってのは非常に恐ろしいことだね。もし、googleが、自らの使命とする「世界中の情報を全て整理する」というのを成し遂げ、全ての情報がgoogle検索エンジンからスタートするようになったら、世の中のひとは、googleに頼れば何でも得られる、逆にgoogleに頼らなければ、重要な情報が得られなくなるかも知れない、ってことだね。


2点目
この本に、googleが国家権力に屈したケースがのってて、俺は知らない話だったので、面白かった。

例えば、2006年1月、グーグルは中国政府の要請に応じ、千五近くの用語やホームページのアクセスを制限した特別な検索エンジンを提供し始めた

このエンジンでは、「天安門事件」ってキーワードがほとんど引っかからないらしい。
中国以外にも、アメリカ軍用基地のgooglemapでの航空写真は詳細が見れないという例が出されていた。


googleは大企業としての責任を果たせるほどの企業なのか」って評論家が言ってるのを聞くと、どうせ、年寄りの若者嫌いの一種だろう、今までは思っていたけど、そういう疑問が出るのも妥当ですね。
googleって企業のVisionとそれを実現させようと新たなサービスを提供し続ける姿は、すばらしいと思うけど、googleが全ての情報を支配するってのは、やっぱりまだ怖い気がする。

急成長にあわせ、自分たちのVisionに付随する様々な問題を今後解決していってほしい。
(なんかえらそうだがw)