坂の上の雲

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

1〜8巻まである。長きにわたって楽しませてもらった。



日露戦争時代、自分の人生を軍にささげた秋山兄弟、彼らと同郷で、同じ時代に人生を俳句にささげた正岡子規という3人を主軸として、司馬遼太郎が当時の日本人というものを描いたもの。

興味ぶかいところはいくつもあった。

  • 人間の個性とそれに見合った生き方。

様々な個性の人物が出てくるが、その個性が良くも悪くも働く。

  • 明治日本人のこころ

武士としての心が西洋文明に触れた時代。
西洋に追いつけなければ、国が滅びる時代。
国家に仕えるという観念が日本で始めて生まれた時代。
直感的な表現をそのまま使うと、それらが重なって、この小説で描かれている人物がかっこいい。
個人的には秋山好古の、目標に向かってシンプルに生きる生き方は感慨深かった。

  • 当時の戦争の泥臭さ

よく言われることだが、現代の戦争はスイッチ一つでミサイルが飛んでいき、全てを破壊してしまう。戦争の残酷さというのを、当事者がその場では感じづらくなっている。
この当時の戦争は、銃剣突撃など肉体同士の戦争で、死がかなり、近くリアルなものだったのだろう。
どっちにしても戦争は良くないのだろうが、命を軽くする近代技術とは何ぞやって思った。

余談が多い。しかしそれが面白い。人物の人間性というのを大変重要視していて、彼の解釈を見るのが面白い。


実は読んでから2週間ぐらい経ってしまった・・・
やっぱもう少し早く書かないとダメだな。