『外国語学習の科学』
- 作者: 白井恭弘
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: 新書
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第二言語習得論という学問の概略と共に、研究結果をどのように実際の外国語学習に活かすかが、書かれている本。この本では前者の比重が大きい。
言語の類似性、学習年齢等、あやふやな知識として聞いたことがあるもの(日本語と英語は構造が全然違う、とか言語習得は早いほうが良い、など)を科学的にアプローチしていて、興味深かった。
注意してほしいのは、絶対正しいという結論はこの本からは得られないことである。(この学問の性質上、仕方ないのかもしれません)
最近の英語学習はコミュニカティブアプローチが主流らしい。
これは文法や構造解析などを中心に行うのではなく、言語のもつ意味が伝達されることに重きを置くもので、この方法では、インプットが重視され、そのインプットから、言語の学習を発展させるそうだ。
これは子供が母語を習わずに自然に身につける方法に近づいている、と感じた。
現在の日本の英語教育は、文法中心(受験英語)→会話中心 という流れにある。
著者は、現在の会話中心の英語教育は、上で述べたコミュニカティブアプローチとは違うと主張する。
コミュニカティブアプローチでは、話すことが重要なのではなく、話を聞いたり、本を読んだりして、(文法で分析し、日本語に訳すのではなく)英語として意味を理解するというのが重要なのだそうだ。
今後の自分の語学学習に大きな影響を及ぼすような知識はあまりなかったが、言語習得メカニズムで現在、もっともらしいとされてる仮説や、言語学習への科学的アプローチを知るという意味では面白い本であった。